『秋篠宮』(江森敬治著)を読んだ。
週刊誌などで「衝撃」とか「前代未聞」などと
書かれているが、私の印象としては「実直そのもの」。
確かに、眞子さまの婚約から
現在の小室夫妻へのバッシングについて、
これまで報道されてこなかった秋篠宮さまの声は
書かれている。
しかしそれとて、「娘をもつ一人の父親」の苦悩が
垣間見える、という程度。
著者はもっと面白おかしく書こうと思えば
書けたはずである。
でもそれをしない誠実さを、私は本書に見る。
しかも、小室夫妻へのコメントばかりが注目されているが、
著者が本書を通して最も言いたかったのは、
バッシングへの反論とか、秋篠宮さま擁護などではなく、
現在の皇室が抱える構造的問題そのもの、だ。
上皇陛下の退位の問題しかり、
皇族の自由しかり、
皇室に対する報道のあり方しかり。
著者は明確な問題意識をもって、秋篠宮家を取り巻く
事象を取り上げている。
もちろんすべて納得できるわけではない。
江森氏とは憲法に対する考え方が
おそらく180度異なると思う。
ただ、天皇や皇族に対して国民がどう向き合うべきか、
今こそそれが問われているのだという問題意識は
共通している。
本書を通して伝わってくるのは、
「高倉健か」とつぶやきたくなるほど不器用で、
生真面目で、正直であろうとする秋篠宮さまの姿であり、
それに誠実に向き合おうとする実直な著者の姿である。
もう一度言う。
面白おかしく書こうと思えば、
いくらでも書けたはずだ。
でも、本書はそれをしていない。
物足りないぐらい、していない。
そして秋篠宮さまを通して、著者は
広く国民に対して問題を提起している。
ただ、それを理解できない、
救いがたいバカもいる。
Amazonのレビューがあまりにひどい。
「憲法遵守しなければって、頭が空っぽ」
「娘を自立させるつもりがなかったのか」
「一個人としての感情だけでわがまま放題」
「伊勢参拝の車の移動は国民の罵声を避けるため」
「宮様も敬称なく、敬語も使っていない」
「諸悪の根源はKK」
「一人の人間ってどの口で言っているのか」
あんたらの関心は小室夫妻だけか?
税金のことだけか?
相手の立場に立って考えてみるという
発想はないのか?
正義ヅラしてバッシングすることだけが目的か?
脊髄反射で文句をタラタラ連ねて、
恥ずかしくないか?
もはや我が身を省みるということすら
しようとしない、愚かなアンチにはつける薬がない。
ちゃんと読め。
そして考えろ。
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